【対話会のきっかけ】
石垣島の住民の方に出会う機会がありました。
「石垣島に自衛隊基地が整備していて、住民投票をしたいと思うんだけど、今日議会で2回目の否決になってね、もぅそれがショックでねぇ〜〜」と話して下さった声が忘れられませんでした。2019.6.17のことです。
石垣島で何が起こっているんだろう?
本土では ほとんど報道されてない中で、いったい南の島で何が起こってるんだろう、、、?
石垣島のみなさんに直接お話を聞く機会を作ろうと思ってこの場をつくりました。
【お話をしてくださった方】
今年6/17。石垣島議会で住民投票に対して二度目の否決が出たあと、頭にハンガーをかぶってハンガーストライキをされた、小山たかやさん。
大阪出身、石垣島に嫁いで移住。基地運動に当初から参加し、住民投票の請求代表人27人の中の一人に入っておられる、普天間明日香さん。
今回 石垣島のみなさんに声をかけ、コーディネートをしてくれた、俵山美絵さん。
配備予定地近くに住み、農業を営んでおられる、花谷まゆさん。
まゆさんの夫で、配備予定地近くで生まれ育ち、基地反対運動の中で地域住民から押される形で2018年4月から市議会議員になられた、花谷しろうさん。
以上5名の方から お話を伺いました。
【石垣島自衛隊基地反対運動の流れ】
2015年11月 石垣島に自衛隊基地が来ることが新聞報道される。
「防衛副大臣が石垣島に来て、石垣島に陸上自衛隊基地配備予定(面積46ヘクタール)と、石垣市役所に通知があったらしい」との内容が新聞に掲載されたが、地域住民にはまったく知らされず。どういうことなんだ?という疑問形から反対運動がはじまったが、市は話し合いに全く応じず。
↓
2016年12月 石垣市からの要望に応える形で、市長と住民との面談調整。
「年明け三が日に、話し合いをしましょう」と調整を進めていた最中、12/26 市長が受け入れ表明→住民との対立構造が表面化。
↓
2017年 石垣島に自衛隊基地はいらないという署名を、14,022筆集め、市に提出。
↓
市は市の選挙人名簿と署名を照らし合わせ。(違法だと思うし遺憾。)
法定署名ではないのに、市民に対してプレッシャーをかけてきたため、住民は猛反発。
↓
市は、「集まった署名は14000筆ではなく8000筆である」と市が表明。住民への弾圧を仕掛けてくる。
↓
2018年4月 地域住民に押される形で、花谷史郎さんが市議会議員に当選
↓
2018年12月 住民投票を求める署名14,263筆(石垣市民の全有権者39,000人の約37%の法定署名)を議会に提出したが、議員は推進派が多数であっさり否決。
議会や民主主義のあり方、、、市民の声を聞こうという姿勢がまったく感じられないあり方に失望。
石垣市議会22名。一人が議長に。採決に加われるのは21名。一人退席して10対10。同数となり、議長が否決に回った。
↓
2019年6月 花谷市議が出していた、住民投票を求める議員提案も否決。
市長は、「裁判でもやれば?」と議会で言ってしまうような状態。
※もともと石垣島で人が暮らしていたのは島の南部の地域で、今回基地配備計画のある中・北部には人が住んでいなかったのだが、太平洋戦争時、石垣島の市街地の住人達が日本軍により強制的に島の中・北部に疎開させられた。そこはマラリア有病地帯で、地元住人がマラリアに罹患して3000人以上亡くなった。
さらに戦後、沖縄本島で米軍による土地の強制接収にあった人達(嘉手納基地周辺住民)が、計画移民として石垣島に移り住んだときにあてがわれた(まだマラリアが残る)という歴史を持つ土地である。 アメリカにというよりも、日本軍に傷められた事情がある。戦後70年、計画移民の人達は、まだマラリアの残る土地を必死に開墾して、2世、3世へと引き継いで来ていて、再び自衛隊基地配備計画地となり、二重の被害に見舞われている、、、
【2019.6.17 石垣島議会で二度目の住民投票請求否決のあと、ハンガーストライキをした、小山たかやさんのお話】
いわゆる絶食して座り込む「hungerストライキ」はお腹が空くので!
私は頭に(洋服を掛ける)ハンガーをかぶる「hangerストライキ」をしました!
(真剣な中にも、このユーモアが好き💕)
住民投票を求める法律は2つあり、これがややこしい、、、
●地方自治法(国の法律)74条では、住民投票条例の制定を求める住民投票は、全有権者の1/50(2%)が集まれば、議会に住民投票を請求することができる。
●もう一つの法律。石垣市自治基本条例28条。
http://www.city.ishigaki.okinawa.jp/home/kikakubu/kikaku/pdf/jichikihon.pdf
第28条
市民のうち本市において選挙権を有する者は、市政に係る重要事項について、その総数の4分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができる。
2 議員は、法令の定めるところにより、議員定数の12分の1以上の者の賛成を得て、住民投票を規定した条例を市議会に提出することで住民投票を発議することができる。
3 市長は、必要に応じ、住民投票を規定した条例を市議会に提出することで住民投票を発議することができる。
4 市長は、第1項の規定による請求があったときは、所定の手続を経て、住民投票を実施しなければならない。
市民の1/4(25%)以上の者の連署を持って提出された住民投票の請求は、市長は所定の手続きをもってこれを実施しなければならない。
今回石垣島で集まっている署名は37%。
「(住民投票を)実施しなければならない」という強制力のある石垣市自治基本条例をクリアしているにも関わらず、
市長曰く、「地方自治法に則り、議会での採決を持って住民投票を実施するかどうか決めなくちゃいけない」と言う。
それがわからない。
「(住民投票を)実施しなければならない」という強制力のある石垣市自治基本条例28条には、「所定の手続きをもって」という一文があるが、そもそも この「所定の手続き」が決まっていない、、、
自治基本条例は、絵に描いた餅????
【基地建設予定地の環境アセスメントについて:普天間明日香さんのお話】
石垣島自衛隊基地建設予定地の平得大股地域は、沖縄県最高峰の於茂登岳があり、自然環境豊かなところ。中でも、世界中で石垣島と西表島にしか生息しない国の天然記念物・カンムリワシは現在200羽ほどしか確認されていない絶滅危惧種、保護される必要がある。
猛禽類は、生態系のピラミッド。頂点に立つ、自然を象徴する生き物です。
環境アセスメントを実施して、保護される必要がある。
沖縄県が環境アセスメントを実施する要件としていた開発面積は30ヘクタール以上だったのに、条例を改正し20ヘクタール以上に引き落とされ、2019年4月から施行。
防衛省は、基地開発予定地の着工を3月中に突然行なった。
カンムリワシの保護と、生活用水への影響の訴えを続けてきたが聞き届けられず。
そんな中、カンムリワシの巣が 基地開発予定地内でみつかり、工事一時中断。
地元のカンムリワシ専門家には意見を求めず、島外の鳥の専門家の意見として、「カンムリワシは子育て放棄しないから大丈夫」として、工事を推し進めている、、、、
【環境アセスメント(環境影響評価)とは】
大規模な開発事業などを実施する際に、事業者が、あらかじめその事業が環境に与える影響を予測・評価し、その内容について、住民や関係自治体などの意見を聴くとともに専門的立場からその内容を審査することにより、事業の実施において適正な環境配慮がなされるようにするための一連の手続きのこと。
【参加者のみなさんから】
◎今日はこのような機会をありがとうございました。
たかやさんのhangerストライキ=愛とユーモアは大きなギフト❣️
私は西表島在住で世界自然遺産、かたや近い石垣島では基地建設が進められていて、このダブルスタンダードが自分で受け入れ難い。自分がやれることをやって行きたい。
◎以前葉山に暮らしていたとき、海岸に遊歩道を作るという計画に反対して勝ったこともある。
もうひとつ、湿地を埋め立てる工事の計画は中止にできなかった。
今の南阿蘇では震災後、ダムが作られようとしているのを戦っている。
みなさんの気持ちにとっても共感する。
トランジションタウンやセブンジェネレーションズ・コミュニティで市議になっている人たちに、話を聞いてもらってはいいんじゃないか?
◎貴重な話をありがとうございました。
根深いなと、、、石垣島というより、日本の 世界の問題。だからこそ、逆の意味で動きにくさを感じる。
一方で、自然の破壊、人権が踏みにじられること、エネルギーを吸い取られる、、、みんなそれぞれ守るものを守っていて、体制側は立場を守っている、、、
すぐには動かなくても、現地に目の当たりにしながらのみなさんの思い、やりきれなさを思うと、なんとも言えない気持ちになる。
そこを応援している人たちもたくさんいるはず。
できることをやって行きたい。
◎全国旅をして、石垣島は第二の故郷と感じている。そこで起こってる問題、つらい。今回がんばってるみなさんがおられると聞いて参加してみた。石垣島の方の立場を理解して応援してる人もいること覚えていてほしい。
◎物事の進め方が民主的でない。文字では伝わらない部分が理解できたのがよかった。
◎どんなことも関心を持つことからはじまると思う。
一人一人の声が集まってたくさんの声が、行政の人に聞かれないということが、この日本という国は本当にあるんだ、、、
自然や命よりも大切にされるもの、、、壊したら二度と戻らないものの前では、利権や立場、そんなものは自然や命の尊厳の前ではどーでもいいこと。さっぱりわからない。ただそれだけの気持ち。
どんなに運動しても反対しても、決まったことは無理にでも推し進められるということの前では どんなことをもってしても無力なのかと思いそうになるけれど、それであきらめるほど、私たちもやわじゃないと。
コミュニティから議会に出てる人たちに、今日の録画や記事を見てもらって、その人たちを集めてもう一度ZOOMをするということが、次にできることかなと思った。
【石垣島のみなさんから】
◎今日はありがとうございました。小さい地域の中で、がんばっても与党多数で何も意見がなかったように、いくら反対しても工事は進むばかりでどうしていいかわからない。みなさんに話を聞いてもらって、選挙に行ってもらって、ちゃんと自然や地方のことを考えてくれる人に入れてもらえるとうれしい。これからもどうぞよろしく。
◎市民が意見を言いたい時に言わせてくれないのは困る。それが民主主義のはずで、それを普通にやらせてほしい。
市民が意見言っていいじゃないか。賛成でも反対でも、ただ意見をちゃんと言わせてほしい、聞いてほしい、その上で話し合いたい。
◎この春に東京小金井市で、辺野古の問題をみんなで考えようと意見書を出してそれが採択された。それに感動して、小金井市議の人に会いたいと思って、西南諸島全体の基地問題のことについて訴えてきた。住民の話を聞いてもらえないのは、人権問題だと。そしたら、2019年6月に小金井市議会で、石垣島の基地建設問題をとめる意見書が採択された。八王子市議も出してくれたが、それは採択されなかった。できればみなさんのまわりの市議のみなさんに働きかけてもらって、これは人権問題であると訴えてほしい。
◎南西諸島 奄美大島から与那国島まで自衛隊配備が進んでしまっている。アメリカの計画=オフショアコントロール作戦の一部でないかという説が有力。
日本だけじゃなくて、中国に近いアジア圏で、中国に アメリカが直接じゃなくて 同盟国を使って 中国にプレッシャーをかけるのが目的。アメリカと中国が直接戦争にならずに、他国を使って中国にプレッシャーをかける作戦に利用されている。そこに日本の税金も何兆円と使われていくし、福祉や教育予算が削られる。そういう意味では、南西諸島だけで起こっているだけでなく、日本中の世界中の人々が自分ごととしてこの問題を考えてほしい。
税金問題だけじゃなくて、ここが標的の場所になるんじゃないか、、、戦争という手段にとらわれない政治、人々の行動が求められる。
全国の人々の共感が、次の一歩かなと。
◎今日は場のコーディネイトをしただけと思っていたけれど、あらためて今日聞いて怒りと絶望感を感じる。ずっとそれを感じていると、疲れちゃって持続しない、、、市民の集会やスタンディングがあっても、出て行くのがつらくなる。これをどういう風に違う方向のパワーにできるか、、、いろんな人に発信することが希望。
◎hungerストライキに心揺さぶられた。当日楽しかった。楽しく続けていきたい。
文責・きら河合史恵@石垣島自衛隊基地問題対話会ファシリテーター